SDGs COLUMN北海道教育大学SDGs

岩見沢校山本キャンパス長に「岩見沢校×SDGs」についてお話を伺いました!

  • 4.質の高い教育をみんなに
山本キャンパス長にお話を伺いました!

「岩見沢校×SDGs」

―岩見沢校とSDGsの関係性をどのようにお考えですか?

芸術やスポーツは、非常に大きな力を持っています。例えば大谷選手がメジャーリーグで活躍すると、一日の元気を貰う人がたくさんいますよね。芸術やスポーツを楽しむことで人生が豊かになっていく体験を皆さんもきっとしたことがあると思います。岩見沢校では、芸術やスポーツの持つこの力を地域の課題解決に活用できる、豊かな発想を持つ人材育成を目指しています。

例えば今、あそびプロジェクトという取り組みをやっています。なぜあそびプロジェクトという名前にしたかというと、芸術もスポーツも人に強制されずに没入できる世界であり、その原点は「遊び」にあると考えます。大学が持っている人的資源や場所、コンテンツを多くの市民に開放し、こういう音楽の取り組みがあるのか、こんなスポーツの楽しみ方があるのかと、色々なことをまずは知ってもらおうとここ何年か継続して取り組んでいます。今後はそこに街づくりという視点も加えて取り組みたいと思っているんです。

このように、地域の特性を踏まえながら地域の人達と共に芸術やスポーツを普及推進していく私たちの学びや取り組みは、SDGsの目標の、「目標3:すべての人に健康と福祉を」、「目標4:質の高い教育をみんなに」、「目標11:住み続けられるまちづくりを」などに深く結びついていると考えています。

―芸術やスポーツの力をどのように地域づくりに活かしていくのでしょう。

芸術やスポーツに共通するクリエイティビティが、地域づくりに大きな役割を果たしていくでしょう。「スポーツとクリエイティビティ」は結びつかない感じがするかもしれませんが、新しい技を見つけるとか、どういう局面でパスを出すかなどは、自身で考え行動するとても創造的な行為ですよね。自ら作り出す、生み出す楽しさを知っている人は、臆することなく新しいことに挑戦できますし、周囲の人にそれを伝えることもできます。芸術やスポーツを学んだ人間だからこそできる発想力で、持続可能な地域づくり、社会づくりに貢献できる人材が、岩見沢校からたくさん巣立っています。

最近すごくいいなと思った取り組みがあるんです。青森出身の学生がねぶたという文化を何とか広めたいと自分でネットワークを開拓してお祭りを成功させました。岩見沢の過去の歴史の中にもねぶたをやっていた時期があったことを知り、その当時関わっていた人の繋がりから、子供たちと一緒にねぶたを作ったり、商工会議所や青年会議所の地域の人達のもとへ自分から飛び込んでいったのです。地域の人達がすごく応援してくれて、ねぶたを運ぶのにトラックが必要なら貸すぞ、保管するにはうちの小屋がいいぞと、前向きに学生を応援してくれました。これは一つのイベントをやったという事だけにとどまらず、その影響は色々な方面に伝わっていきます。今後、学生が主体となって地域の人達にアプローチしていくこのような取り組みがもっと出てくればいいと願っています。学生が主体性を持つことができれば、自ら課題を見つけられる力もついてきます。SDGsは課題を自ら見つけ出す事がとても大切ですが、そういう視点と発想を持ったたくさんの学生がこのキャンパスで育っています。

―持続可能な社会をつくっていくために、これからの岩見沢校のあり方についてどんな未来像を描いていますか。

岩見沢校は2023年に100周年を迎えます。これを機に今一度、地域と共にこの大学があるということを改めて意識したいと思っています。
学生が地域に出て行って色々気づいたことがたくさんあるでしょうし、また、岩見沢校があるということが地域の方達にとっても良かったと思ってもらえる関係が築けていると思っています。大学は大学、地域は地域というのではなく、大学と地域がもっと一体化して、課題を共有して知恵を出し合うようなことが今以上にもっと起こってくるような大学にしたいですね。

冗談でよく言うのですが、岩見沢の駅前を大学の正門にしてしまえばいいのではないかと(笑)。教授の研究室が商店街の空き店舗のどこかにあって、ゼミもそこでやっていたり。また、70歳とか80歳の人達が大学で気軽に学びなおしができたりと、岩見沢の人口のほとんどが実は教育大と何かの形で関わっている、そんな大学、そして地域になったら素敵だと思いませんか?

芸術やスポーツが持っている力があれば、人を集められます。北広島のファイターズの新球場は、野球を見せるだけでありません。野球に興味がなくても集まれる施設になっています。岩見沢もそういう場所のように、いつもどこかで素敵なコンサートや展覧会があって、街そのものが美術館で、スポーツの大会もたくさんあって子供たちがスポーツを習う時間も豊富にあって、あそこに住みたいねといわれる街に。そうなっていけば、魅力的ですよね。持続する街づくりを岩見沢で学び、暮らすみんなで考え続けることができたらと思っています。