北海道教育大学とSDGsとの関係性について、
お考えをお聞かせください
北海道教育大学は、札幌校・旭川校・釧路校に教員養成課程、函館校に国際地域学科、岩見沢校に芸術・スポーツ文化学科を持っています。これら5つのキャンパスでの学びは、SDGsの17目標の中の「質の高い教育をみんなに(目標4)」「住み続けられるまちづくりを(目標11)」「すべての人に健康と福祉を(目標3)」というものにまさに直結しています。
それだけではありません。本学は、ご存じの通り「教育」という問題に深く関わっている大学です。学生は、その専攻に応じて、「人間」「自然界のしくみ」「人間自らが創り上げてきた芸術や文学・歴史、そして社会のしくみ」などに関する専門的理解を深め、教員養成課程であればそれらを次の世代に繋いでいくための「学校における教育内容と方法」を身につけることになるし、2つの学科では「心身共に健康で、生き甲斐を持って暮らすためのまちづくりや生き方」を地域の人たちに提案したり考えたりしてもらう力を身につけることになります。広い意味で「持続可能な社会の創り手」を育てていると言えるのではないでしょうか。
そういう意味で、今まさに、北海道教育大学という存在が、地域社会に求められていると実感しています。付け加えますと、本学とSDGsとの関わりを「教育マインド」という言葉を介して理解することも可能だと思います。
「教育マインド」とは何でしょう
「教育マインド」とは、人よりも多くのことを深く学んだ人間が、まだそこに達していない人を教え導こうとしたり、啓発・指導したりする、そのような指向性を持った心、と理解していただければいいと思います。私たちが目指すのは、この「教育マインド」を育てていくことであり、それは先生になる人を育てることだけに留まりません。教育マインドを持つ人を増やすことで、世界の平和や地球環境について考えたり、地域の活性化や生き甲斐を考えたりする機会をデザインできる人が増え、その取り組みが人から人へ広がっていくと考えています。
この地球上で、人間は頼まれなくても他人を助ける利他的な生き物です。17目標を知って、その実現のために「地球の未来を思って」「人のために」進めるのは私たち人間だけです。その根幹を支える人を育てる本学の役割は、ますます重要になっていくと考えています。
そういう視点で見ると北海道教育大学の中には
SDGsの実現に貢献するキーワードがたくさんありそうですね。
例えば函館校では、地域の方々とともに地域活性化に取り組む様々なプロジェクトを行なっています。繰り返しになりますが、これは「住み続けられるまちづくりを(目標11)」と深く結びついています。釧路校が中心となって推進する「へき地・小規模校教育」も本学の大きな特色ですが、こちらもSDGsの観点から見れば「質の高い教育をみんなに(目標4)」はもちろん、「住み続けられるまちづくりを(目標11)」や、「人や国の不平等をなくそう(目標10)」「貧困をなくそう(目標1)」にも繋がっていきます。
岩見沢校では、スポーツや芸術を学ぶ学生たちが、その豊かな発想と想像力で地域の人たちを対象とした、「芸術・スポーツキャラバン」や「あそびプロジェクト」を推進し、地域に生きる人と人のつながりを生み出しています。これは「すべての人に健康と福祉を(目標3)」に強く結びついています。私たちが当たり前に推進してきた学びやプロジェクトを紐解けば、そこに自然とSDGsとの関わりが見えてくることがわかります。
今後の取り組みについて
お聞かせください
教育とは、端的に言えば全ての人が「よりよく生きる」ことを助けるためにあると考えています。よりよく生きるためには、地球環境はどうならなければならないのか、社会はどうあるべきなのか、自ら考える力を持たなければなりません。SDGsの1つ1つの目標は、人がよりよく生きる道標のようなものです。
そういう意味でもSDGsにコミットしていくことは北海道教育大学として必然であり、全ての学びと結びついていると考えています。
私たちがこれまで培ってきた実績と価値というものを、SDGsというフレームを通して改めて見つめ直し、発信し、より多くの方々の共感を得ながら、これからも高い教育マインドを持つ「持続可能な未来を創る人たち」を社会に送り出したいと考えています。