釧路校浅利キャンパス長に「釧路校×SDGs」をテーマにお話を伺いました!
「釧路校×SDGs」
―釧路校が取り組む教員養成についてSDGsの視点から教えてください。
釧路校の教員養成は道東の教育ニーズを反映しています。そのため、長年をかけて地域の学校現場との密接な協力関係を築いてきました。道東はエリアが広く、へき地・小規模校が多いことが特徴です。現場では教科一つだけに特化するというよりは、学校全体を俯瞰するような力が必要とされています。教科を横断した総合的な力をつけさせたいという観点から、小・中・特殊の3免許取得を奨励し、実習を徹底して実施しています。へき地・小規模校が多い道東のニーズを反映した教員養成は、SDGsの「質の高い教育をみんなに(目標4)」と「住み続けられるまちづくりを(目標11)」という目標に貢献しています。
釧路校を卒業した学生が地域の教員になり、そこで授業を受けた子供たちが教育の素晴らしさに気づき釧路校を志望してくれて、また学生を育て、教育実習に出したら、次は卒業生たちが一生懸命指導してくれて…そんな循環が生まれています。教育という営みそのものが持続可能な社会を構築する営みそのものではないかと感じています。
また、釧路校にはへき地・小規模校教育研究センターがあり、培ってきたノウハウや指導方法を発展途上国の教員に伝授するという取り組みも行なっています。質の高い教育が世界中に広がっていけば「貧困をなくそう(目標1)」「飢餓をゼロに(目標2)」「全ての人に健康と福祉を(目標3)」の実現にもつながっていきます。
―釧路校のフィールド研究が地域課題解決の視点からも注目されていますね。
1年生から小学校・中学校の学校現場で学ぶ「教育フィールド研究」は、釧路校の大きな特徴ですね。新入生研修として、高校を卒業して間もない一年生が、道東の地域のへき地校に実際に行くプログラムがあります。学生にしてみれば感動体験です。初めて「先生」と呼ばれて、みんなで芋掘り体験だとか、子供たちと触れ合う。帰りのバスを子どもたちが走って追いかけて「また来てね」と言われる。そんな経験ができるのです。毎週金曜日にバス7台に乗って繰り返しフィールド研究を行なっていくため、卒業時には先生として心構えや基礎がしっかりできている。大変うれしいことに教員養成試験の採用率が釧路校はトップレベルなのですが、ここにもフィールド研究の成果が現れているんだと思いますね。
―SDGsという観点でほかに着目すべき取り組みを教えてください
教員養成のプログラムにおいて、プロジェクト研究という必修科目があります。SDGsの項目の中で目標を見つけて、今、釧路ではどうなっているか、教育はどのようにしていかなければならないのか、ということをグループで活動し、発表し合う取り組みをしています。また倫理人権の授業では、セクシュアリティやジェンダーの話をできるだけ盛り込むようにしています。
専攻では、地域・環境教育専攻があり、地域社会の営みや豊かな自然環境を子供達の教育に生かすことができる教員養成を目指しています。学内に設置されたESD推進センターと協力し、持続可能な開発のための教育を普及させる取り組みも行っています。
―持続可能な社会づくりに、今後どのように貢献していきたいですか
釧路校が大切にしているのは、子どもたちや地域との深い関わりです。道東エリアは非常に広く、へき地・小規模校が多い地域です。地域のニーズに応える教員養成を継続することこそがサステナビリティへの貢献だと考えています。
また、釧路校で70年以上に渡り続いてきた、へき地教育の取り組みは少子化・過疎化が進む日本において、これから極めて重要な役割を果たすのではないかとも考えています。
これからの社会は何が正解かわからないような時代です。その中でも子どもたちは決断し、判断し、生きていくのです。「生きる力」を育む教育を私たちは実践していかなければなりません。今まで以上に大きな責任と使命が本校にはあると強く思っています。