SDGs COLUMN北海道教育大学SDGs

札幌校田口キャンパス長に「札幌校×SDGs」をテーマにお話を伺いました!

  • 4.質の高い教育をみんなに

田口キャンパス長にお話を伺いました!

「札幌校×SDGs」

―札幌校の特色についてSDGsの視点から教えてください

例えば「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標の理解は、理科教育がベースを担うと思います。この目標の真意をきちんと理解した学生が教員となり、持続可能な社会というものを理科的な視点から子どもたちが主体的に考えていけるような教育を進めて欲しいと思います。これはあくまで一つの例ですが、教員養成を通じて札幌校がSDGsに果たすべき役割は非常に大きいと感じています。

日々の教員養成の学びの中に、SDGsに繋がることはたくさんあります。子どもたちに持続可能な社会の重要性について伝えるとき、大切なのは、教師となる学生自身がその課題を肌で感じることだと思っています。そのために様々な取り組みを行っています。例えば、JAと本学のSDGs共同プロジェクトで札幌校生活創造教育専攻の学生が農業視察研修を実施し、そこではスマート酪農やバイオガスプラントによる発電など、実際に現場に行って学ぶ機会が得られました。テキストだけで学ぶより、実体験があったうえで子供たちの教育に当たれば、伝わり方も変わるでしょう。これからも地域や企業などと連携し、そういう機会を作っていきたいと思っています。

また、札幌校は特別支援教育と養護教育のキーキャンパスで,本学で唯一「特別支援教育専攻」と「養護教育専攻」が設置されています。これは「目標4:質の高い教育をみんなに」「目標3:全ての人に健康と福祉を」という目標に貢献できる部分です。札幌校での学びそのものの中にSDGsに直結する分野がたくさんあると考えています。

―学生たちが実体験を通してSDGsを考える機会というのは他にもあるのでしょうか。

2022年度札幌校では、本学が実施している「キャンパス活性化リノベーション事業」の一つとして「ダイバーシティの実現に向けた誰でもトイレ整備事業というプロジェクトに取り組みました。障害を持った方やSOGI(Sexual Orientation, Gender Identity)の多様性に配慮した、誰もが使えるトイレを整備する事業です。総事業費1,500万円のうち15%を寄付で募り、達成しました。もちろん、施設ができることが目的ではあるのですが、こういった事業を行うことで、学生をはじめ様々な方にジェンダー平等などの問題に関心を向けてもらうことも大きな目的となっています。

また、年に一度、「拓北・あいの里教育フォーラム」という事業を実施しています。ここ数年はコロナ禍の影響で実施できていませんが、大学の教員や現役の教員がパネリストとして登壇し、学校教育のこれからの姿について考えるフォーラムを児童・生徒をもつ保護者の方だけではなく、地域の方にも参加いただいて実施してきました。今後は、地域とのつながりを持つ機会を新たな形で検討したいと考えています。

さらに2020年、札幌キャンパスに「未来の学び協創研究センター」が設置されました。このセンターでは、ICTの活用を踏まえた学校教育のあり方等、教育委員会、民間企業、民間団体などと連携して、教育DX(Digital Transformation)について研究しています。特に、一人ひとりの個性に合わせた学びや、学校しかできない協働しながら学ぶためのツールとして、ICTをどう活用できるか研究しています。また、センターの研究成果や最先端の技術を活用したオンライン教育に関するセミナーを頻繁に開催していて、その中で現職教員等の実践事例などを広く発信しています。このセンターでの学生教育等を通じて、「令和の日本型学校教育」で大切にされている「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」を推進できる教員の養成が展開されることで,「目標4:質の高い教育をみんなに」の実現に貢献できたらと思います。

―札幌校の今後のSDGsの推進について、今後どのように取り組みたいと考えていますか。

新しいことをやるというよりも、今まで自分たちがやってきたことを、SDGsの視点からもう一度見直してみて、その繋がりを改めて意識していくことが大切だと思っています。私たちの日々の学び、取り組みが実はSDGsと密接に結びついています。まずはそこに気づくことで、また新しい発想や取り組みが生まれていくと考えています。